DIY・工作は、手元だけで勝負できる
日曜大工をする人は9人に1人。しかも検索の上位は英語で、海外にも見る人がいる。顔を出さない配信と相性がいい理由、企画の切り口10個、機材、ケガと法律で気をつけることまで。
なぜ空いているか
DIYは趣味として思ったより広く根づいています。総務省の社会生活基本調査では、1年間に「日曜大工」をした人は10歳以上の11.0%(2021年)で、およそ9人に1人です。5年前(10.9%)からほぼ横ばいで、流行りではなく、ずっといる人たちだと分かります。
見る側も日本だけではありません。VOID SCOPEの初期調査では、このジャンルの検索キーワードの上位に英語が多く並びました。日本の100円ショップの材料、狭い部屋に合わせた収納、木の組み方。海外から見ても「日本らしい」題材がそろっています。
それでもVTuberが少ない理由は、だいたい次の3つです。
- 作業中は話せないと思われている。実際は、手を動かしながらの雑談こそ長く見られる形です。
- カメラが2台いると思われている。アバターと手元の両方を映すのは面倒に見えます。次の章で見るとおり、手元1台で始められます。
- VTuberの世界観と、のこぎりや工具が合わないと思われている。ここは逆に、意外さが武器になります。
どんな人が見ているか
- 自分でも作りたい人。作り方を知りたいので、手順が見える配信を最後まで見ます。
- 作る気はないけど、見ていたい人。少しずつ形になっていく様子は、それだけで見ていて飽きません。作業用のBGM代わりに流す人もいます。
- 海外の人。日本の住まいや道具そのものに興味があります。言葉が分からなくても、手元は伝わります。
- ゲーム好き。クラフト系のゲームが好きな人は、現実の工作にも近い楽しさを感じます。
VTuberがやると、「作り方の動画」ではなく「作っている人と過ごす時間」になります。完成品より、途中の失敗や相談の方が盛り上がるジャンルです。
見られやすい時間
DIYは、週末の昼から夕方がいちばん合います。視聴者も自分の作業をしている時間なので、「一緒に作業する」配信として流してもらいやすいからです。平日は夜に30分だけ「今日の進み具合」を見せる短い枠を置くと、週末の長い枠につながります。
VTuberがやるときの企画の切り口
- 100円ショップの材料だけで○○を作る。予算の縛りがあると、見る人も真似しやすくなります。
- 配信部屋を自分で作る。机、モニター台、ケーブル収納。VTuberの視聴者が一番興味のある部屋です。
- リスナーの部屋の悩みを1つ解決する。相談をもらって、設計から一緒に考えます。
- ゲームに出てくる物を現実で作る。剣、盾、宝箱。権利には気をつけます(最後の章)。
- 1日1工程の連続配信。1つの作品を1週間かけて作り、毎日少しずつ進めます。
- 失敗作の供養。うまくいかなかった物を見せて、なぜ失敗したか話す枠。
- 初めての工具を使ってみる。電動ドリル、トリマー、はんだごて。初心者目線の驚きがそのまま企画になります。
- ミニチュア・模型作り。机の上で完結し、手元の映像映えもいいです。
- リメイク・修理。古い家具を塗り直す、壊れた物を直す。前と後の差が分かりやすいです。
- 英語のタイトルと字幕を付ける。海外の人にも見つけてもらえます。道具の名前だけでも英語で出すと効果があります。
始め方と機材
手元を映すカメラ1台で始められます。アバターは画面の隅に小さく置き、主役は手元にします。
- 真上から撮る。アームやスタンドで机の真上にスマホかWebカメラを固定します。部屋や顔が写りこみにくい角度です。
- 照明を1つ足す。手元が暗いと、細かい作業が見えません。影が出にくいよう、カメラの横から当てます。
- マイクは作業音を拾いすぎないものに。のこぎりやドリルの音は大きいので、声が埋もれないように配信ソフトで音量を調整します。
最初は机の上で終わる小さな物から作ります。木工より、紙・粘土・プラ板・100円ショップの材料の方が音も散らかりも少なく、配信に向いています。
最初の4週間の進め方
- 1週目:机の上で終わる小さな物を1つ作ります。材料は100円ショップで、予算も画面に出します。
- 2週目:同じ物をもう一度作り、1週目と並べて見せます。上達が目に見えると、次も見たくなります。
- 3週目:コメントで次に作る物を決めてもらいます。視聴者が「自分が決めた作品」として見に来ます。
- 4週目:できた物を配信部屋で実際に使う様子を見せます。作って終わりにしないことが、このジャンルの続け方です。
伸びてきたら
完成までを3〜5分にまとめた動画を作ると、検索から来た人が長い配信へ移ってきます。英語のタイトルを付けた動画も出すと、海外の人にも見つけてもらえます。工具を増やすのは、作りたい物がはっきりしてからで十分です。
気をつけること
- ケガをしない段取りを先に決める。刃物と電動工具は、コメントを読むときは手を止める、と決めておきます。保護メガネや手袋も、見せることで視聴者への手本になります。
- 電気の配線工事は自分でやらない。コンセントの増設や壁の中の配線は、電気工事士の資格がないとできない作業です。「やってみた」をするのは、プラグにつなぐ既製品の範囲までにします。
- キャラクター物は「作って楽しむ」まで。好きなゲームの道具を自分で作るのは楽しい企画ですが、作った物を売る、型紙を配るとなると権利の問題が出てきます。
- 案件は「PR」と分かるように。工具や材料を提供してもらったときは、最初に「PR」「提供」と言い、概要欄にも書きます。2023年10月から、広告であることを隠した宣伝は景品表示法の規制対象です。
- 身バレに注意。窓の外、郵便物、宅配の伝票。手元の映像には意外と個人の情報が写ります。配信前に机の上を片づけます。
DIYは、うまくなる過程そのものが配信になるジャンルです。最初の作品が下手なほど、あとで見返す楽しみが増えます。
出典
※この記事には、YouTubeから集めた視聴数やVTuber数は載せていません。数字は上の公的な統計・調査によるものです。